頑張りを再定義するセルフ・コンパッション

投稿日(Posted on): 2023年9月15日 | 最終更新日(Last Updated on): 2023年12月6日 by 河野傑

   

真面目で一所懸命な人ほど、どうしても自分のやり方で自分の望む結果を出したくなってしまうもの。その自分のやり方から外れると、自分が悪いんじゃないか、よくないんじゃないか、というような理由のない罪悪感をもってしまい、恐れています。だから、余計に一所懸命にやってしまう。そんなとき、自分のやり方を一度捨てて、相手の求めるものを提供してみる。すると、自分のやり方でうまくやらないといけないという呪縛から解放されます。そんなわけで、今回は、セルフ・コンパッションを通して、自分と和解する方法をご紹介したいと思います。

昔、中学校のとき、数学の問題がわからなくて、うんうんと考えていたことがありました。それは、取り組んでいる問題が難しすぎるのです。でも、当時はこう思っていました。志望校がこのレベルだから、同レベルの問題を解けなければならない。みんなこの問題はできているから、自分だって、解けなければならない。そんな感じで、ねじり鉢巻で何分も何時間も、数学の問題と格闘していました。そんな時は、やっぱり問題が難しすぎるのです。

「基礎が大切」また、「”わかる”から”できる”までのステップは一歩ずつ上がっていくしかない」そういうことはわかっているつもりです。でも、やさしい問題に戻るのは、プライドがあってできないものです。自分のやり方でやりたい。先に早く進みたい。そんな早る気持ちとプライドが邪魔をします。それでも、やさしい問題から積み重ねていくと意外と早いものなんです。私は中2の時に、思い切って中1からやり直しました。

   

話は変わって最近のことです。ある週末の日、家族で出掛けました。帰路、渋滞があったため、家に着くのが遅くなってしまいました。普段、私が夕飯を作っているのだけれど、その日も遅く帰った時刻から、いつも通りに準備をしてしまいました。すると、お腹を空かせた妻が激怒してしまいました。その時間から作るんじゃなくて、買ってきた惣菜でいいから、早く食べたかったそうです。私もその時刻から考えると、ちょっと時間のかかる料理をしてしまいました。食べ物の恨みは怖いです。私も一生懸命作っていたんです。でも妻という顧客を満足させられなかった。出来合いの惣菜よりも、手作りの方が、心がこもっているはず。子どもにも、家庭の味みたいでいいはず。そういう考えがありました。

   

でも、妻にとっては、家庭の味だろうが、手作りだろうが、どちらでもよかったのです。遅く帰ったのだから、余計にはやくお腹を満たすことの方が重要だったのです。

心理学でリフレーミングという用語があります。例えば、マックのお店でポテトを注文した時、ポテトは売り切れで、「これから作ります」と言われた状況です。このお客が待たされて、イライラする状況です。ポジティブに捉えるためには、あえて、「待たされているんじゃない、出来立てを食べられるんだ」と言ったりしますよね。このように、リフレーミングとは、別の視点で、見方や考え方をとらえ直すということです。今回の私の例で言うと、「惣菜でいいから、すぐにお腹を満たす方が大事」ということになるでしょうか。

   

このように、見方を変えることが大切です。自分の理想や自分がよしと思っていたやり方にこだわるよりも、相手の求めているものを相手に届けることにこだわった方がいいかもしれません。だから、手抜きをしたっていい。完璧でなくていい。他人と比較しなくていい。

   

自分と和解する時も同じです。作り手は、出来合いの惣菜よりも、手作りの家庭料理にこだわりたいと思ってしまうかもしれません。でも、食べる当人たちは、惣菜か手作りかは、あまり意識していないかも。家庭の手作りの味は、作り手が余裕がある時に、作ってあげれば、いいのではないでしょうか。買ってきた食材でも、栄養バランスが良くて、お腹を満たせればいいのです。

   

真面目で、一所懸命なときは、自分のやり方で自分の望む結果をどうしても出したいものです。その自分のやり方から外れると、自分が悪いんじゃないか、よくないんじゃないか、というような罪悪感をもってしまいます。

   

でも、このような罪悪感には、根拠はありません。そんなとき、自分のやり方を一度捨ててみませんか。そして、相手の求めるものを提供してみる。そうすると、fc Z自分のやり方でうまくやらないといけないと言う呪縛から解放されますよ。


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