不合理な信念を修正するセルフ・コンパッション

投稿日(Posted on): 2023年9月15日 | 最終更新日(Last Updated on): 2023年12月6日 by 河野傑

「親というものは、〇〇でなければならない」「〇〇をしつけしなければならない」心理学では、このような規範意識をイラショナル・ビリーフ(不合理な信念)になっている場合が少なくありません。ですが、人は誰しもこうした信念に囚われている可能性があります。

   

人は、傷つかないように、そして自分を守るために、こうした信念を作ります。親自身の生い立ちの傷つきから、自分の子どもには、よかれと思ってちゃんとしつけようとします。でもその信念がときどき合理的でなくなる場合も少なくありません。

   

「〇〇ができるようになった」「□□ができるようになった」子どもの成長を感じるのは、嬉しいものです。しかし、できないことをできるようにすることが子育てのすべてでしょうか。そう思っていると、子育ては思わぬ方向に行ってしまいかねません。しつけること自体が、子育ての目的になってしまうのです。

   

あいさつがちゃんとしよう。

姿勢正しく。

きれいにお箸の持とう。

クラスの子と仲良くしよう。

人に迷惑をかけないようにしよう。

わたしが親から言われてよく覚えているのは、「手を洗え」「ハンカチ持ったか」です。新しい家を汚して欲しくなかったんだな、出先で恥をかかせたくなかったんだな。と今になっては思います。そのルールの目的に、「子ども」がどのくらい入っているか、ですよね。

   

コロナのこともあって、通常よりもルールが増える場面もあったことでしょう。親は注意してばかり、心配したりイライラしてばかりになってしまいます。子どもを見守るどころか、監視をしているかのようです。それでは疲れます。子ども自身にとっても、ちゃんとすれば、褒められる。ちゃんとしないと愛されない。そんな条件付きの愛情という形になって、伝わってしまいます。

   

「親というものは、〇〇でなければならない」「しつけでは、〇〇しなければならない」

   

この「〇〇しなければならない」という信念を心理学では、ビリーフと言っています。

   

でも、ちょっと考えてみてください。

   

おとなだって、あいさつをしない人もわりといます。みんな全員と仲良くするのは、正直難しいときもあります。子どもは色々なことに興味をもっていて、予測のつかない行動をします。勉強ができても、幸せになるとは限りません。あいさつができなくても、愛想がいい子はいます。姿勢が少しくらい悪くても、おいしいと言ってくれたり、おいしそうに食べる子もいますよね。洋服も自分なりに(側から見て)着てみて、着ることができたという達成感を感じているのに、親が全部直すこともないでしょう。

   

心理学では、このような規範意識をイラショナル・ビリーフ(不合理な信念)と言って、人は誰しもこうした信念に囚われていると説明しています。このイラショナル・ビリーフをもってしまう背景には、親自身が、子どもの頃に叱られた嫌な経験があったり、完璧主義的な思考をもっていることがあります。人は、傷つかないように、自分を守るために、こうした信念を作ります。そして、親自身の生い立ちの傷つきから、自分の子どもには、よかれと思ってちゃんとしつけようとしていることも多いです。

   

このように、偏った信念に親自身も縛られていることに気づいていないこともあります。もう役に立たなくなった信念もあるかもしれません。だから、安全には考慮しますが、子どもは、よく食べて、よく寝てくれたら、それでいい。笑顔でいてくれたらそれでいい。今できないことがあったとしても、今すぐにできるようにならなくていい。時間をかけていい。少しずつできるようになればいい。それくらいの考えでいいのではないでしょうか。

   

自分の思うようにならない時は、自分が無意識にもっている不合理な信念に気づくチャンスかもしれません。

   


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