子どもに寄り添ってネガティブな反すうを手放す

投稿日(Posted on): 2023年12月6日 | 最終更新日(Last Updated on): 2024年5月15日 by 河野傑

子育てにも、慣習、清潔、標準、他人の目など、不健全な罪悪感の土壌があると言えるのかもしれません。今回は「きちんとすること」よりも大切なことに目を向けることで、「とらわれ」から解放されるヒントをお伝えします。

   

「楽しんで子育てをしましょう」 育児本によく書いてある言葉です。

子どもが楽しいと思えるとともに、親も楽しいと思えるといいですよね。

子育てをしているなかで、本当にそれが大事だなと実感するようになりました。

食事の時でも、絵本を読む時でも、保育園への送り迎えの時でも、子どもは楽しくて満たされたときに、たくさん話してくれます。

そして、とてもいい表情を見せてくれます。

さらに、そんな時は、(親がやってほしいと思うような)例えば、手を洗ったり、野菜を食べたりということも、やってくれるのです(いつもではありませんが・・・)。

あるいは、その日その時にはできなくても、一日か二日後にはわかってくれて、できていることもあります。

   

楽しんで子育てをすることは、子育ての罪悪感を手放すことにも通じることです。

後から考えると、本当に危険なことを除けば、少しぐらい汚れたって、散らかっていたって、多少時間に遅れたって、そんなに影響はないのだと思います。

それなのに、心配になってこうしなきゃ、ああしなきゃと思ってしまう。

そして、ちょっとしたことで子どもに怒って、後で悪かったなと思ってしまう。

子どもが楽しそうにしている時は、食事も進むし、いろいろ話してくれて、どんなことに興味があるのかわかるような気がします。

いうまでもなく、子どもが楽しそうにしている様子を見るだけで嬉しくなりますよね。

実は僕自身は、きちんと子育てをやろうとし過ぎて、あまり子どもを見ずに、子育てを楽しまずに、子どもと接してしまうことが、よくあります。

よくありがちなのは,他の子どもさん,理想的な子どもさん,あるいは子育て本や発達の理論を意識し過ぎて,目の前の自分の子どもにイライラしてしまうこと。

反省しきりです。

   

私には、3歳と1歳の子どもがいます。

例えば、保育園に子どもを迎えに行って、夕飯の献立を考えて、買い物をして、夕飯の支度をするときにそうなりがちです。

早くテーブルにお皿を置いて、料理をよそって、「いただきます」までこぎつけなければならない!と思ってしまいます。それから,夕飯の後はお風呂に入れて、9時までにはベットに入って寝る態勢にしないと、保育園の時間に間に合わないし、仕事にも支障をきたしてしまう。。。

それにもかかわらず、妻の方の仕事はすぐには終わらず、子どもたちがお腹が空いてぐずぐずしていたり、食べないで遊びたいと言っていたりします。みんな一斉に食べ始められないのです。

こんなときは、とりあえず食べさせることで精一杯になってしまいます。食べやすいように、細かく切る。おわんを手前に持ってきて、食べやすくする。コップのお茶をこぼさないように、飲み終わったらテーブルの中央に持ってくる。うまく食べられない時は、手伝って食べさせる。ときどきスプーンや食べ物で遊んでいたり、こぼしてしまっていたりするので、1歳の次男だけでなく、3歳の長男にも、両方に目を配ります。

このように、やった方がいいこと・やらなければならないと、親が思い込んでいることを優先させてしまいます。もちろん、こういうことも必要だし、大切だと思います。

でも、その時に忘れがちなのが、どんな表情で食べているか。何を最初に食べ始めるか。今日の保育園でどんなことがあったか。子どもの様子を見たり、子どもの話に耳を傾けるということが、二の次、三の次になってしまいます。

   

子育ては、親からの言い伝え(親の時代のやり方)、○歳で〇〇ができるのが標準?(実際には目安に過ぎないのに)、他の子どもとの比較(同い年のあの子はできているのにうちの子はどうして・・・)など、意識的にあるいは無意識に参照しているモデルや標準がありますよね。

そして、後片付けが大変だから、遅れたらなんて言われるだろう、子どもがこんなことできないなんて、親失格と思われるのではないだろうか。その標準から外れることが、親を心配や不安にさせます。あるいは、将来への影響を考えたりすることもあります。

   

エリクソン の心理社会的発達理論では、中年期の発達課題は生殖性でした。生殖性とは、次世代(子どもや後輩)を育てることですが、与える・教え込むという上からの目線よりも、相手を見ながら・情緒の面にも目を配りながら、コミュニケーションをしていく必要があるのだということを改めて感じています。

家庭は、育児と家事だけで構成されていると思うと、育児と家事が「作業」になってしまってしまいますよね。これしたら、あれ。あれしたら次。ムダを省いて、なるべく早く遅れないように。いかにして、綺麗に汚れないように、安全なように、片付けが楽なようにするのか、そう言ったことだけがポイントになってしまいます。仕事のように,P (計画)・D(実行)・C(評価)・A(改善)をまわしてしまうのですね。

   

たしかに,このような効率や手際も大切です。でも、それ以上に子どもをよく見ること、子どもが何を話しているのか、耳を傾けること。子どもがどんな表情で、何が好きな食べ物か、どんな風にスプーンを握って、何を話しながら食べているのかに意識を向けられる余裕をもちたいものです。それが、子育てを楽しむことにつながっていくのですから。

少しくらい汚れても、少しくらい遅れても、手作りでなくても、少しでも子どもを見る時間、子どもと同じ時間を共有できるといいなと思います。


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