「構造」の罪悪感を癒やす心理学

投稿日(Posted on): 2023年9月7日 | 最終更新日(Last Updated on): 2023年9月8日 by 河野傑

   

自分を責めてしまってつらいとき、罪悪感を手放そうとするとき、

その罪悪感がどのように形成されたのかを知ると自然と手放せることがあります。

   

ジークムント・フロイトは、こころの構造を研究して精神分析を創始しました。

そして、フロイトの研究したこころの構造や機能を知ることが、罪悪感の癒しのヒントになっています。

   

というわけで今回は、「構造」の罪悪感を癒す心理学です。

   

フロイトの考えるこころの構造

フロイトは、こころには、エス、超自我、自我の3つの構造があると考えました。

エスとは、本能で、〇〇したいという欲求のことです。

超自我とは、道徳や良心のことです。

この超自我は、文化的・社会的規範、親のしつけなどの影響を受けるとされています。

そして自我とは、エスと超自我の間で、欲求を調整して規範に合わせたり、規範を検討して欲求を認めたり、現実社会で適応的な行動をとる機能のことです。

   

例えば、

すべり台で遊びたいとき、この遊びたいという気持ちが、エスにあたります。そして、他にも遊んでいる子がいたら、列に順番に並ばなければならないとか、ぶつからないように一定の間隔を保って、すべらなければならないというルールが超自我です。

   

また、

他の子どもがいなかったら、ある程度、自由に遊んでもいいかもしれません。すぐに遊びたい、たくさん遊びたいという欲求があっても、横入りしてはいけないし、逆から滑り台をかけ上がっていけないということになります。

   

このルールを理解して、他の子に配慮して順番に並び、自分の番が来たらすべるという行動が、自我になります。

   

ところが、

自分の欲求だけを優先したり、逆に規範的意識が強過ぎたりすると、問題が起こってしまいます。自我による調整やバランスをとるという機能がうまく働かないのです。

   

私の経験で恐縮ですが、親をガッカリさせないように、家や学校でいい子で、成績がよくなければという背負った使命感?を持っていました。

   

ですから、

自分の気持ちを抑えていましたし、「将来の夢(何になりたいか)」という作文が一番苦手でした。仕事で忙しく家にいないことが多が、とても恐い父親と、母親の「あなたが〇〇だったら、離婚していたかもね」というような愚痴や父親への非難を間に受けてしまっていました。

   

親は、子どもが自分の好きなことを見つけてほしいと思いながら、親自身が安心するようにレールをひいてしまうのですね。

   

昔、ある大臣がうまい例えを言っていました。「総理が、私に自由にやれというから、自分の好きなようにやろうとすると、なぜか前に進めない。ふと下を見ると、総理が私のスカートを踏んでいた」正確ではありませんが、こんなニュアンスでした。自分で選択したり、意思決定することに罪悪感を持ってしまうこともあります。

   

親のしつけが過度に厳しかったり、育った環境でルールが多かったりすると、その規範を受け継いで、自分がやりたいこととぶつかってしまう。自分で選択したり、意思決定したりする経験が少ないと、受け継いだ親の規範に沿って判断することになります。

   

親の価値観や社会的な規範を振り返る

罪悪感を手放すことにも同じことが言えます。

超自我である、親の価値観、社会的な規範、道徳的な規範などを振り返ってみること。私の場合は、自分が好きなことをやると、人に迷惑をかけてしまう、家族が崩壊してしまうという背負った考えがその根底にあったようです。それは親の価値観だったり、その当時の社会の価値観を反映しています。

   

ですから、

自分の超自我が、どのように形成されてきたか理解すること。すると、役に立つルール(規範)を受け継いで、建設的ではないと気づいたルール(規範)は手放すことができますよ。

   

ポイント

・間違った役割は手放してみよう。その役割は不当に押し付けられたもので、

そもそもあなたはその責任を負う必要がないのかもしれません。

   

参考文献

松原達哉. 史上最強カラー図解 臨床心理学のすべてがわかる本, ナツメ社, 2013年.


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