父親のチカラを引き出す心理学

投稿日(Posted on): 2023年10月6日 | 最終更新日(Last Updated on): 2023年12月6日 by 河野傑

   

朝、お父さんが子どもを保育園に送るという風景をよく目にするようになりました。

   

子育てでは、やるべきことがたくさんあります。乳児期では、離乳食を作り、食べさせること、おむつを替えることのほか、成長するにつれトイレットトレーニングに付き合うことが必要です。さらには、食材や子ども用品の買い物やゴミ捨てといった家事を欠かせません。幼児期になると、絵本を読んだり、子どもの話を聞いたり、お絵かきや工作に付き添うこと、そして習い事や幼児教室に子どもを送り、家では宿題をみることもあるのではないでしょうか。

   

目に見える関わりだけではありません。マナーや常識を教えることもあります。外出時に安全に歩いたり、お友達と仲良くするための配慮があります。また、安全を確保するため、物の配置、大人の立ち位置に気を配ります。

このような子育ての時間を通して、お父さんもまた子どもに寄り添い、子どもの良き理解者になろうとしています。父親として、子どもと共に成長しようとしているのです。

   

   

当然のことながら、子育てにおいては、仕事のスケジュール、親の心の余裕や気持ちの準備なんて関係ありませんから、私は様々な失敗を経験しました。

   

保育園での「慣らし・慣れ」がうまくいかなかったり、トイレットトレーニングがなかなかスムーズにいかないこともあります。熱が出れば、保育園にお迎えに行き、そしてお休みしなければなりません。家族でコロナに罹って自宅待機を余儀なくされることもあります。

保育園のお迎えに行くと子どもに「ママがいい、ママがよかった」と言われ、先生の手前、立場のなさや気まづさを味わったことも多々あります。子どもは遊ぶのが好きですが、そんな子どもの遊び心が高じて、ふざけた時に注意し過ぎてしまいました。

甘えたい気持ちを受け止めきれずに叱ってしまったこともあります。「こうしなさい」、「これはダメ」と小言をガミガミ言ってしまうことあり、子育ての失敗を数えればキリがありません。

   

振り返るとキリがありませんね。子どもに申し訳ない気持ちになることもあります。子育てに正解はないとわかっていながらも、これでいいのかと自問自答の日々です。

   

   

「父親は父親らしく、どーんと大きく構えて、いざという時だけ厳しく叱ればいいだろう」なんて思っていたけれど、なかなかそうもいきません。反対に、友達のような父親がいいのでしょうか。友達のような優しい父親だと、社会の規範を教えたり、しつけが必要な時に甘くなってしまう気がします。そんな優しさだけの父親だと、「お父さんがお母さん化している」、「家庭に母親は2人いらない」なんて言われてしまいそうです。

   

そうすると、子どもに寄り添う父親がいいのか、子どもを導くような厳しい父親がいいのか、わからなくなってきます。どんな父親像を目指せばいいのでしょうか。

   

「父親らしく」なんて言葉をつかいましたが、そもそも「父親像」という明確なモデルがこれまでにあったのでしょうか。とりわけ現代のような、共働きで母親と共に育児家事をも担う明確な父親像、あるいは、子どもに寄り添いながら子どもを導く厳しい父親というのは、どのようなものでしょうか。

   

河合(2004)は、「父親の居場所というものは、自分の強さではなく、家長・家名を継承する者として、日本的システムの中で守られていた」と述べています。昔の強くて怖い父親は、立場や地位による部分が大きかったというわけです。

   

今の時代は、家庭において、父親自身が、ひとりの人間として、いかに居場所を作っていくかが問われているのではないでしょうか。妻(母親)や子どもとの関係性の中で、役割や働きを模索し、形作るのです。ですからこれまでの父親像を参照しつつも、調整していかなければなりません。既製の服を仕立て直すことが必要です。

   

このように、新しい父親像を作るわけですから、失敗や戸惑いもあって当然です。家族に何か課題があったときの即効性のある解決法は存在しません。また解決のためにアウトソーシングすれば済むような話でもありません。

   

子どもの発達段階に応じて、過干渉や過保護になりすぎず、かと言って、ほったらかしでもなく、適切な距離感で適切にサポートできるよう、時間をかけて取り組みたいものです。大倉山カウンセリングでは、カウンセリングで、お父さんの子育て支援をしております。ご家族の課題を一緒に考えていきましょう。

   

参考文献

河合隼雄(2004).『父親の力 母親の力 「イエ」を出て「家」に帰る』.講談社.

https://twitter.com/okurayama2017

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