おむつ替えを通じた子どもとの関わりやアセスメント

投稿日(Posted on): 2023年10月12日 | 最終更新日(Last Updated on): 2023年12月6日 by 河野傑

はじめに

育児の一つひとつの作業というのは、作業以上の意味があります。大げさに言うと、アセスメントやコミュニケーションをも含むものです。言葉によるコミュニケーションが始まってからだけがお父さんの出番ではなく、それ以前の、乳幼児期の関わりがその後のコミュニケーションの土台にもなるだろうと思います。

   

おむつ替えはやっぱり大変

おむつ替えは確かにやらなければならないことですが、ちょっと面倒なこともあります。まず、当然ですが、子どもは「おむつを変えてくれ」と言ってくれませんから、いつ替えるのか気付かなければなりません。気付くためには、ニオイ、時間間隔、あるいは機嫌といったことを観察していなければなりません。そして、おむつを替えるには、子どもをあやしたり、歌を歌ったり、おもちゃで注意を引きつけたり、とにかくおむつを替える体勢を整えなければなりません。動いていたらできません。そんな場面で、言うことを聞いてくれない、親の思い通りにならない事態に直面することが大切です。もっと遊んでいたかったり、おむつのサイズが小さくなっていたり、子どもにとっては、親の言うことを聞かないのではなく、何かを伝えようとしている自発性の表れなのかもしれません。

また、トイレットトレーニングの時期になると、馴染みのある小さい便座のおまるの方がよかったり、足が届かなくて力が入らなかったり、自分で水洗を流してみたかったりするなどの自発的な行動も見られるでしょう。親がトイレのやり方を教えているだけではなく、その子のやってみたい気持ちが見えてきます。

夜中に親を起こしてトイレに行きたいと言ってくれたり(起こせば連れて行ってくれる、応えてくれるだろうという期待、ベッドで漏らしてしまうという心配という葛藤があるのかも)、遊びに夢中になって便意を催しても伝えるのを忘れてしまったり、自分で座ろうとしたり、便座に座ってもなかなか出ないので、自分のタイミングを見計らっていたりと、色々な姿が見受けられます。

   

育児は双方向

親子関係 parent-child relationship

「親子関係は両方向的である。親は、子どもに発達の足場を提供しようとするが、そのとき子どもの視点や子どもの発達水準、”個性”などを考慮して、自らの行動や子どもへの反応を調整している。一方、子どもは親から教えられるだけでなく、積極的に親を参照したり、教えてもらおうとしたりする。ヒトは、教えようとする傾向をもつ種であると同時に、教えてもらおう、助けてもらおうとする種でもある。」

子安増生・丹野義彦・箱田裕司監修, 2021,『現代心理学辞典』,有斐閣

   

おむつ替えをした時に体調をみたり、おむつやウェットティッシュの残量を確認して必要ならば買い足したり。お尻を拭いたり、新しいおむつはかせたりしてスッキリすると、こちらへの態度も良好になります。次回のご指名もあるかもしれません。そのほか、排泄の時間的な間隔、身長や体重でオムツのサイズ、など得られる情報は多岐に渡りますね。これらは情報収集であると同時に子どもからのメッセージとも言えるかもしれません。子どもの成長や体調、機嫌などを学ぶことできます。夕食の話題になったり、買い物の時にオムツのサイズを間違えないようにしたりと、応用できますし。

   

育児の一つひとつは、コミュニケーションの土台

おむつ替えでも、トイレットトレーニングでも、着替えでも、送迎でも、お風呂に入ることでも、例としてはなんでもいいわけです。何が言いたいのかというと、育児の一つひとつの作業は、それ以上のものがあると言うことです。

育児における、ひとつの作業というだけではなく、アセスメントやコミュニケーションも含まれるもので、こうした関わりを積み重ねて、思い出になっていきます。言葉によるコミュニケーションが始まってからだけがお父さんの出番ではありません。自分にとって学びになったのは、乳幼児期の関わりが、その後のコミュニケーションの土台になるんだろうなということでした。


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