複文化・複言語の環境に適応しながらも,自主性を育むには?

投稿日(Posted on): 2024年5月22日 | 最終更新日(Last Updated on): 2024年5月27日 by 河野傑

外国につながる子どもたち、TCK(Third Culture Kids)やCCK(Cross-Cultural Kids)の保護者の皆さんは、子どもが異文化に適応しながら自主性も育てる方法を模索していることでしょう。

複文化・複言語の環境に適応しながら,自主性を育むことに葛藤することはありますか?

家庭での学習や学校選びにおいて、どのようにして最適なバランスを見つけていますか?

   

   

文化の違いを受け入れ、新しい環境に柔軟に適応する能力は、TCKやCCKにとって不可欠です。親としては,子どもに親の文化や価値観を理解してほしいと思います。

私自身,そんな願いから,子どもに私立の小学校受験をさせたり,幼児教室へ通学させたりした経験があります。

しかしながら,準備期間が短かく、勉強のレベルや内容が子どもの能力や興味に合わないために,結果として子どもが幼児教室での学習が嫌いになってしまいました。

   

この失敗談から学んだのは、子どもに安心して自分のペースで学べる環境を提供することの重要性です。

ジョン・ボウルビー(Bowlby, J.)の愛着理論が示すように、安定した愛着関係が子どもの安心感を支え、変化に対する適応力を高めます。

また、エドワード・デシ(Deci, E. L.)とリチャード・ライアン(Ryan, R. M.)の自己決定理論から「関連性」を取り入れることで、子どもが自己の選択に責任を持ち、興味のあることに取り組む意欲を高めることができます。

なお,自己決定理論では,「自律性」、「有能感」、「関連性」という三つの基本的な心理的ニーズが人の内発的な動機付けと行動に重要な役割を果たすと考えます。

この「関連性」とは,他者との健康的な関係を通じて自己決定を支え、他者とのつながりと所属意識を強化する心理的ニーズのことです。

   

   

TCKやCCKの子どもたちが多文化への適応性を失わずに、自主性を育むためには、愛着と自己決定のバランスが鍵となります。

子どもたちが自分の選択を尊重され、支持されることで、異文化間の壁を越え、自信を持って歩みを進めることができます。

   

お子さんが学校生活や家庭学習で困っていることがあれば、ぜひ大倉山カウンセリングにご相談ください。一緒に解決策を見つけましょう。


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