自分のなかの禁止令に気づいて罪悪感を癒やす

投稿日(Posted on): 2023年9月14日 | 最終更新日(Last Updated on): 2023年12月6日 by 河野傑

自分のなかにある「禁止令」に気づきましょう。その上で、自分はもう子どもではないこと、自分で選択できること。自分を罰するために失敗する必要はないのです。時には自分を優先していいし、利益を受け取っていい。成功を目指していい。こうしたことを自分に認めてあげてください。

   

鎖につながれた象の例えをご存知ですか?

それはこんなお話です。象使いは、象が子どもの時から子象の足に鎖をつけるそうです。それは、子象が逃げ出さないようにするためです。子象は、鎖につながれた当初、逃げ出そうとします。当然ですよね。ですが、まだ子象ですから、力が強くありません。そのため、鎖を切ったり、鎖の先にある木の杭を引き抜いたりすることはできないのです。何度も引っ張りますが、子象には難しい。だんだん、そのことが子象にもわかってきます。そして、いつしか、諦めてしまうのだそうです。

   

これを心理学では、学習性無力感と言います。失敗した。できなかった。そういう経験を通して、自分の無力さを学習していきます。そして、しまいにはもう挑戦すらしなくなってしまうのです。これは、子象が大きくなって、大人の象になっても影響があるようです。力が強くなっても、できなかったという失敗の記憶のために、挑戦すらしなくなるのだそうです。成長した大人の象なら、鎖を引っ張って壊すことだって、木の杭を引き抜くことだってできるでしょうに。

   

ところで、エリック・バーンという精神科医は、交流分析という人間関係を分析する理論を生み出しました。その交流分析には、「禁止令」という用語があります。「〇〇するな」、「〇〇であるな」という禁止の形によるメッセージです。そして、このメッセージは言葉で直接伝えるというわけではありません。

   

例えば、「子どもであるな」「成長するな」という禁止令があります。これは、小さい頃からいつも親からお手伝いや仕事をやらされたり、我慢をしいられたり、甘えたりできないような状況では、子どもは、「子どもであるな」という無言のメッセージを受け取ってしまうといった具合です。

   

逆に、親が子どもに何でもやってあげる。いつまでも子ども扱いをしている。すると、「成長するな」、「子どものままでいなさい」というメッセージを与えていることになります。

   

さらに、「〇〇しろ」という形の禁止令を拮抗禁止令と言います。例えば、「完璧にやれ」(間違えるな)「察しろ」(言われなくても理解しろ)「期待に応えろ」(自分よりも相手のことを優先しろ)といったメッセージです。

   

このように、禁止令や拮抗禁止令があるために、やりたいことができずに、前に進めなくなってしまう場合があります。そう言う時、葛藤状態、無気力、引きこもり、ということが起こりやすいです。

   

そして、禁止令は条件付けによって、自分を責めてしまいがちになります。例えば、禁止令が、「親不孝をしてはいけない」、「親の期待に反してはいけない」という場合、親に教育費をかけて育ててもらったのに、親の意向に添わない仕事や自分のやりたいことをしようとするなんて、親不孝だ。このように考えて、自分のやりたいことを諦めるという場合があります。

   

抜け出そうとすると、この禁止令が出てきて自分の意思よりも、相手の期待を優先してしまう。親子関係だけに限らず、恋愛関係、夫婦関係、上司と部下の関係においても起こりうることです。相手と依存状態にあると、相手との一体になっている感覚になります。

   

その場合、相手と異なる行動や相手の期待に反する行動をとることが余計に難しく感じるときがあります。ですので、まずは、自分がどういう禁止令に影響されているのかを把握しておくのがいいでしょう。

   

親子関係ですと、「親をガッカリさせてはいけない」「親の期待に沿わなければならない」「相手の気持ちを察して、自分を後回しにして、自分よりも相手を優先しなければならない」など。

   

このことは、自分と和解するときも同じです。今の状況で何らかの苦痛を感じていて、変えたいと思っているのなら、「象のたとえ」で言うところの、「鎖」が何なのか、交流分析でいう「禁止令」を理解することです。時代、社会、親などの影響を受けて、様々な禁止令があります。当初の禁止令には、目的がありました。

   

安全のため。子育てのため。節約のため。ある時は有用だったかもしれません。しかしながら、大人になった時、本当に必要かどうかは自分で取捨選択しなければなりません。

   

もちろん、自分で選択して、結果が好ましくない場合もあるでしょう。言われた通りやっておけばよかったということもあるかもしれません。でも、言われた通りやることも含めて、自分で選択することが必要です。動かされてしまっているしくみ、支配されているしくみ、これに気づくことです。

   

そして、自分はもう子象ではなく大人であること。自分で選択できること。そして、親やその時代の価値観に囚われず、自分は楽しんで良いのです。

   

成功していいし、利益を受け取っていいし、成功を目指していいのです。自分のやりたいことをやって、自分なりのゴールを目指していい。自分に認めてあげてほしいと思います。


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