背後にある原因を見つめる
問題の背後にある本当の原因に目を向けたいものです。
私たちが日常生活や仕事において直面する問題の多くは、表面に見える部分だけを捉えがちです。
例えば、業績の低下やコミュニケーションの不和といった問題は、目に見える現象として捉えやすいものです。
しかし、これらの問題を解決しようとする際に、表面的な現象だけに注目してしまうと、本当の原因を見落としてしまうことが少なくありません。
本当の原因とは、表面に現れている問題の背後に潜む、根本的な要因や環境的な影響です。
私たちが問題を解決しようとする際には、この「背後にある本当の原因」に目を向ける姿勢が重要です。
時には、自分自身が気づいていない要因が影響していることもありますし、職場や家庭といった環境そのものが原因となっていることもあるでしょう。
このような本当の原因を見つけ出し、適切に対処することができなければ、同じ問題が繰り返されることになります。
そして、それは私たちの健康や幸福感に大きな影響を与えることもあるのです。
統計家としてのナイチンゲール
クリミア戦争(1854)に従軍したナイチンゲールは看護師であるとともに統計家でした。
彼女は懸命に病院で看護しますが、亡くなる兵士も多かったそうです。
看護の実践を通して、ナイチンゲールは病院の不衛生に問題があることに気づきました。
そして、衛生状態の改善に取り組みます。
その後、ナイチンゲールは、統計資料を作成して、報告しています。
高い死亡率の原因は、直接の傷よりも、野線病院の衛生状態が悪いため感染症により死に至るケースが多いことが判明しました。
衛生状態の改善により、死亡率は、42%から4%にまで下がりました。
背後にある原因に目を向けることの重要性を示す興味深いお話です。
数字とその背後にある心理的安全性
ナイチンゲールの本当の原因を見つめる姿勢は、働く人の心を支える心理学においても同じです。
職場における問題やストレスの原因は必ずしも表面的に見えるものではありません。
例えば、業務のパフォーマンスが低下していたり、コミュニケーションに問題が生じたりする状況があったとき、目に見える出来事や行動だけを評価するのではなく、その背後にある心理的な要因や職場環境の影響を探ることが大切です。
働く大人の職場においても「心理的安全性(Psychological Safety)」が注目されています。
この概念は、エイミー・エドモンドソン(Amy Edmondson)によって提唱されました。
心理的安全性(Psychological Safety)とは、個人が組織内でリスクを恐れずに意見を言ったり、質問をしたり、失敗を認めたりできる環境を意味します(Edmondson, 1999)。
心理的安全性が確保された環境では、個人の能力が発揮され、生産性や満足度が向上することが確認されています(Edmondson, 1999)。
ナイチンゲールが統計資料を用いて本当の原因を突き止めたように、職場においても表面的な問題にとどまらず、心理的安全性を確保するための取り組みが求められています。
職場において、心理的安全性の確保は離職率の低下、残業時間の削減、生産性の向上にも大きく関わっています。
ナイチンゲールが衛生状態の改善により感染症による死亡率を劇的に下げたように、心理的安全性を高めることで、職場環境の改善が図られ、従業員が自信を持って業務に取り組めるようになります。
安心して意見を述べることができ、問題を共有できる環境は、効率的で健全な職場を作り出す要因となります。
ナイチンゲールのように、問題の背景にある真の原因を見つめ、それに適切に対応することが、働く人々の心の健康を支えるうえで重要な姿勢であると言えるでしょう。
心理的安全性を高めるためには、リーダーや管理職が安心して意見を言える雰囲気を作り、対話を重視する姿勢を持つことが求められます。
働く人のこころを支える心理学
仕事と子育ての両立を目指す中で、生きづらさや働きづらさを感じる方も多いと思います。
特に、自分の思いや意見を安心して話せない環境では、悩みを抱え込んでしまうこともあるでしょう。
しかし、心理的安全性のある環境を作ることは、実際には容易ではありません。
職場の状況や人間関係の複雑さ、文化的な背景の違いなど、様々な要因が絡み合うからです。
心理カウンセリングは、自分の気持ちや思いに気づき、それを受け止める場所です。
生きづらさや働きづらさを感じている方にとって、安全で安心できる環境の中で、自分の中にある本当の感情や悩みを見つめることで、新たな道を見つけるための大切な支えとなるでしょう。
家庭や職場でのコミュニケーションにおいても、まずは自分自身を大切にし、自分の気持ちに正直になることが重要です。
そして、周囲の人たちが自分の思いを受け入れてくれる環境を作っていくことも大切です。
一人で抱え込まず、必要なときには周囲の支援を求めてください。
困難に向き合いながらも、自分らしい生き方を見つけるための一歩を踏み出していきましょう。
参考文献
- Edmondson, A. C. (1999). Psychological safety and learning behavior in work teams. Administrative Science Quarterly, 44(2), 350-383.
- フローレンス・ナイチンゲール『Notes on Matters Affecting the Health, Efficiency, and Hospital Administration of the British Army』(1858年) URL: archive.org 2025年3月26日確認
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