学校行くよりも大切なこと―不登校への対応―


子どもが学校に行きたくないと言った

朝、子どもが学校に行きたくないと言いました。

仕事に行かなければならないのに、どうしよう。

無理に連れていこうとすると泣き出してしまいます。

仕方なく休ませることにしましたが、ズル休みを容認したようで心苦しいです。

他のお友達に「今日はどうしたの?」と聞かれるのもつらいです。

他のお友達や保護者からは、どう見えているのでしょうか。

誰かを責めたくなる気持ちがどこかにありながら、それはおかしいことだとわかっている気持ちもあります。

詰まるとこと、子どもが学校に行かないという状況について、親である自分が悪かったように感じるのです。

親である自分の育て方が間違っていたのでしょうか。

うちに不登校が起こるとは思ってもみませんでした。

いつも子どもの気持ちに寄り添ってばかりもいられない子育ての現実

「子どもの気持ちに寄り添うことが大切である」ということは、親である自分自身ではわかっているつもりです。

しかし、実際にはとても難しいものです。

子育てには、いつも子どもの気持ちに寄り添ってばかりもいられない現実があります。

自分の子どもを「自立して生活できる大人」、「人として魅力のある大人」にしなければならない。

だから、将来困らないように、将来役に立つようなことを、よかれと思って、親の考えるベストな方法で、子どもに身につけさせたい。それが愛情だと思っています。

先生に認められるように、クラスの友達からすごいと賞賛されるように、親が子どもの工作を作ってしまう。

将来きれいな字を書けるように、大人になって恥をかかなくて済むように、習字を習わせる。

子どもの将来の選択肢が多くなるように、世界が広がるように、塾に行かせて受験させる。

確かにありがたいことです。なかなかできることではありません。

親は良かれと思っていて、こうした方法がベストで、将来役に立つと思っているのです。

だからこそ、この子にはその価値が今は分からないかもしれないけれど、正しいのだと考えてしまうのです。

イソップ寓話の「北風と太陽」のたとえ

イソップ寓話の「北風と太陽」のお話をご存知の方も多いのではないでしょうか。

北風と太陽が、どうやって旅人の服を脱がせる競争するお話です。

北風は、力づくで旅人の服を脱がせようとしました。強制されるほど旅人は服をしっかりと着込み、帽子を飛ばされないようにしました。

一方、太陽は、太陽の暖かさを与えることで、旅人が自ら服を脱ぐように促しました。

この太陽のように、「安心感という温かさを与えること」が、相手に変化をもたらす、それも自発的な変化をもたらす方法であると解釈できるでしょう。

働く人のこころを支える心理学でも同じです

働く大人の職場においても「心理的安全性(Psychological Safety)」は重要です。

この概念は、エイミー・エドモンドソン(Amy Edmondson)によって提唱され、個人が組織内でリスクを恐れずに意見を言ったり、質問をしたり、失敗を認めたりできる環境を意味します(Edmondson, 1999)。

心理的安全性が確保された環境では、個人の能力が発揮され、生産性や満足度が向上することが確認されています(Edmondson, 1999)。

これは、子どもにとっても同様です。安心して「嫌だった」「怖かった」という気持ちを伝え、助けを求めることができる環境があれば、「自分でやってみよう」、「協力してやってみよう」という気持ちが芽生えやすくなるのです

親として、「行かない」ことの反対にある「行く」が解決であると捉えがちですが、学校に行くことが唯一の解決ではありません。

何よりも大切なのは、子どもの気持ちに寄り添い、安心して話せる環境を提供することです。

心理的安全性の場を作ることです。

心理的安全性の場を作ることによって、たとえ学校を休む日があったとしても、子どもが自分の気持ちを正直に表現し、それを受け止めてもらうことで癒されることもあります。

家で落ち着いた時間を過ごしたり、ひとりで好きなように自由に遊ぶなかで心が満たされることもあります。

お友達とのコミュニケーションや社会スキルに課題がある場合は、一緒に伝え方や関わり方を学ぶことも有効です。

何よりも子どもの気持ちに寄り添う

何よりも大切なのは、子どもの気持ちに寄り添うことです。

親としては、子どもの「行きたくない」という言葉に焦りや不安を感じるかもしれません。

自分の子どもだけが遅れをとってしまうのではないだろうか、将来に影響が出るのではないだろうかと心配になるかもしれません。

しかし、学校に行くこと自体   がゴールではありません。行けないことを責めるのではなく、「どうしてそう感じたのか」を一緒に考え、理解しようとする姿勢が何よりも大切です。

「休んでもいい」「行かなくてもいい」「行くか行かないかを自分で選んでいい」という選択肢を与え、子どもが自分の気持ちを表現できる環境を作りましょう。

親自身の心理的安全性も大切です。それは、子どもが学校に行くから安心できるのではなく、子どもがどのように過ごしているか、何を感じているかを理解することが、親自身の安心感につながるのです。

それが、親自身の仕事の効率や生活の質を向上させる鍵にもなります。

だからこそ、子どもの気持ちに寄り添いながら、一緒に考え、乗り越えていきましょう。

きっと新しい希望を見つけることができるはずです。

参考文献

Edmondson, A. C. (1999). Psychological Safety and Learning Behavior in Work Teams. Administrative Science Quarterly, 44(2), 350-383.

エイミー・C・エドモンドソン著 野津智子訳 村瀬俊朗解説(2019) 恐れのない組織「心理的安全性」が学習・イノベーション・成長をもたらす 英治出版


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