
「おじいちゃんは行かないのに、なぜ僕だけ?」8歳息子の問いに、父が返した「3つの契約」と「最後の祈り」
「日本人のおじいちゃんは行かないのに、なんで僕だけ?」 8歳前後のハーフのお子さんからこの問いが出た時、正直なところ狼狽しました。
来たか。 やっぱり。 そりゃそうだよな。
そんな言葉が頭をよぎります。 しかし、冷静に振り返ってみると、これは子どもが**「自分の頭で考え始めた」**という、素晴らしい成長の証でした。
ここで「つべこべ言わずに行きなさい」とねじ伏せるのは簡単です。しかしそれは、せっかく芽生えた「自分で考えて」「勇気を持って言った」、つまり**「生きる力」を摘んでしまうことになります。 親も子も「自分で考えて行動する」ことを大切にするご家庭なら、この問いには親の権威ではなく、「対等な対話」**で応えたいものです。
日曜日の教会を「強制された義務」から、親子で選び取る「価値ある時間」に変えるために、私が実践している3つの視点をご提案します。
1. 「退屈な場所」から「ありがとうの場所」へ
まず、教会を「ただ座っていなければならないつまらない場所」から、「一週間分の『ありがとう』を伝えに行く場所」へと定義し直します。
私はまず、「〇〇くんの言う通り、行かなくてもバチは当たらないよ」と彼の気持ちを肯定します。 その上で、こう問いかけます。 「今週、何かいいことあったかな? 学校で友達と鬼ごっこをして楽しかった? サッカーが少し上手くなった? それとも、レゴでカッコいい車が作れたとか、給食が美味しかったとか」
小さな幸せを一緒に数え上げ、「いいね、それは全部素敵なプレゼントだ。今日はその『お礼』を言いに行くんだよ」と伝えることで、行く目的をポジティブなものに変えるのです。
2. グローバルな視点を「選ぶ」権利
次に、海外のルーツ(祖母)との繋がりを、義務ではなく**「広い世界へのアクセス権」**として伝えます。
「日本の学校では『みんなと同じ』が大事だけど、教会に行けば、フィリピンのおばあちゃんや、世界中の人と繋がれる感覚を持てる。 これは、狭い世界に閉じ込められないための、君だけに与えられた『特別なパスポート』なんだよ。 使うか使わないかは君の自由だけど、パパは君に、広い世界を知る人でいてほしいと思っているんだ」
ハーフであることを「背負わせる」のではなく、**「視野を広げるためのオプション」**として提示し、彼自身にその価値を選択させます。
3. 「ご褒美」ではなく「交渉と契約」
最後に、ドーナツなどの楽しみも、単なる「餌」ではなく、対等な**「交渉(ネゴシエーション)」**の結果として扱います。
「パパは、家族でルーツを確認するこの時間を大切にしたい。だから君の時間を1時間だけ僕に投資してほしい。 その代わり、終わった後の1時間は、君の好きなことに投資しよう。ドーナツでもサッカーでも、君のプランに付き合うよ。これで手を打たないか?」
これは行動心理学の「強化」であると同時に、お互いの価値観を尊重し合う**「紳士協定(契約)」です。 「パパがうるさいから行く」ではなく、「自分の時間を切り売りして、対価(親との時間)を得る」**という大人の判断を彼に委ねます。
結論:いつか自由になる君へ
こうして対話を重ねるのは、単に教会へ連れて行くためだけではありません。私が彼に伝えたい、本当の思いがあるからです。
人は、生きるために心の中に何かを信じているのでしょう。そして、その何かを神様と呼んだり、他の名前で呼んだりするのでしょう。 また、それが「組織宗教」になると、問題が複雑になることがあります。
宗教の教えは、一見すると理想論に見えるかもしれません。でも、教えそれ自体には、人が生きるための大切なメッセージが込められていることに、いつか君も気づくでしょう。
もし将来、組織としての宗教が息苦しく感じたり、自分には合わないと思うことがあれば、その時はそこから自由になってほしいと思っています。 教会に行く君も、行かないと決めた君も、私は変わらず愛しています。
この対話の時間こそが、これからの多文化社会を生き抜く彼にとって、形を変えた一番の祈りとなるはずです。

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