罪悪感の向こうにあるもの


電車の窓に映る自分の顔を見ながら、ふと過去の出来事を思い出すことはありませんか。

「あのとき、どうしてあんなことを言ってしまったのだろう」
「別の選択をしていたら、今は違っていたのかな」

そんな後悔や罪悪感は、不意に私たちを包み込みます。

けれど心理学の視点で見ると、罪悪感は人を大切に思うからこそ生まれる感情でもあります。

カール・ロジャーズが「自分を受け入れることが癒やしの始まり」と語ったように、その思いを否定せず「ここにある」と認めることが、回復の第一歩になります。

書くことで心を整える

試しに書き出してみるのもよい方法です。

心理学者ジェームズ・ペネベーカーの研究では、感情を言葉にする「エクスプレッシブ・ライティング」が心を癒す効果を持つとされています。

手帳の片隅やスマホのメモにでも、「こんな気持ちを抱えていたんだな」と残してみると、自分への理解が深まり、心の整理につながります。

それを誰かに打ち明けられたなら、なおさらです。信頼できる人に話すのが難しいときは、自分あてに手紙を書くのでも構いません。

出さなくても、書く行為そのものが癒やしになります。

それでも幸せになってよい

大切なのは、「だから幸せになってはいけない」と思い込むのではなく、「それでも幸せになってよい」と言葉をかけ直すことです。

クリスティン・ネフが提唱するセルフ・コンパッション(自分への思いやり)は、過去を変えられない私たちに、いまを生きる力を与えてくれます。

罪悪感や後悔はすぐに消えるものではありません。

でも、その気持ちを抱えているあなた自身は、愛される存在であり、幸せになってよい存在です。

今日、電車の窓に映る自分に、そっと言葉をかけてみてください。

「大丈夫、あなたは幸せになっていいんだよ」と。

参考文献

  • Rogers, C. (1961). On Becoming a Person. Houghton Mifflin.
  • Pennebaker, J. W. (1997). Opening Up: The Healing Power of Expressing Emotions. Guilford Press.
  • Neff, K. (2011). Self-Compassion: The Proven Power of Being Kind to Yourself. HarperCollins.


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